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| 免疫力が病を治す |
私たちは生まれながらにして様々な力を持っています。
「免疫力」もその一つです。
免疫力とは「病気を治す力」「病気に抵抗する力」のことですが、
私の知るかぎりでは「免疫力は実体の知れないもの」という意識の方も多いようです。
原因を探ると、血圧も体温も数値で分かる、腫瘍や潰瘍も検査で分かる。
しかし免疫力はその点どうなんだという方がとても多いんですね。
ところが、現在の自分の免疫力は数値で測ることもできますし、
免疫のしくみを知ることで、これを調整していくことさえできるのです。
であれば、元気をとりもどすために、
そして健康を保ちつづけるためにも、これを活かさない手はありませんよね。
免疫力を調整していくには、少しばかり意識の変化が必要ですが、
けっして難しいことじゃありません。
免疫のしくみを知ることは、同時に病の原因が分かることでもあります。
病の原因を取り除き免疫力が調整できるようになると、必ず元気になれます。
免疫のありか
免疫の正体はというと、血液の中の「白血球」です。
血液には赤血球と白血球がありますが、赤血球は酸素や栄養を運ぶ役目をし、
白血球が免疫システムを管理しています。
この白血球は、顆粒球とリンパ球、マクロファージから成り立っています。
三者はそれぞれ免疫システムの役割を担っていますが、
一般に「免疫力」といったときは「リンパ球」のことをさします。
この三者の働きは、
顆粒球が大腸菌や死んだ細胞の死骸などサイズの大きな異物を食べて処理します。
リンパ球はそれよりも小さな、がん細胞やウイルスなどを駆逐します。
また、マクロファージはサイズの大きな異物や老廃物を処理する一方で、
異物が体内に入ってきたことを知らせる司令塔の役目もしています。
この指令を受けると、リンパ球と顆粒球は活性化して異物をやっつけるというわけです。
このように三者は連携して役割分担をしているのですが、
顆粒球だけはその役目を終えると、活性酸素をまき散らすという一面を持っています。
顆粒球の寿命は2〜3日と短く、役目を終えると組織粘膜を死に場所にして
そこに活性酸素を放つのです。
活性酸素は万病の元といわれますが、それは強い酸化力で組織破壊を進めるからです。
組織破壊は炎症や潰瘍を起こし、がんをはじめ様々な病の下地をつくります。
ただ、活性酸素に対して身体はまったく無防備なわけではありません。身体にはこれを無毒化するしくみがありますが、とうぜん無毒化するには許容量というものがあります。
もうおわかりかと思いますが、三者の中で顆粒球が増えすぎるとよくないということです。
ところで白血球を構成する三者のバランスですが、
マクロファージだけは全体の約5%と一定しています。
顆粒球とリンパ球の比率は常に変動します。
例えば顆粒球が60%なら、リンパ球は35%という具合です。
顆粒球が増えすぎると活性酸素の増加で組織破壊が進むと言いましたが、一方で免疫力の主役であるリンパ球の数は減りますので、免疫力も低下することになります。
では、顆粒球とリンパ球の比率はどれくらいが理想なのでしょうか。
白血球のバランス
白血球に占めるそれぞれの割合ですが、理想的な比率は
「顆粒球=54〜60%」「リンパ球=35〜41%」と言われています。
顆粒球が60%を超えると、
活性酸素による身体への悪影響や免疫力の低下が始まるということなんですね。
ちなみに、自分の顆粒球・リンパ球の比率は
白血球分画検査(保険適用)で知ることができます。
この白血球のバランスによる身体の状態をみますと、
病気を抱えている人の顆粒球の比率は65%以上(リンパ球30%以下)。
また、病気ではないが不快症状を抱えている人の顆粒球比率は
60〜65%(リンパ球30〜35%)。
そして、病気でもない不快症状もない健康な人の顆粒球比率が
54〜60%(リンパ球35〜41%)だと言われます。
では、この比率はどんな要因で変わるのでしょうか。
白血球を支配する自律神経
白血球のバランスは、「自律神経」の働きで変わることになります。
自律神経の影響を受けると、顆粒球とリンパ球の比率は変動します。
自律神経とは脳の指令を受けない自律した神経のことですが、眠っていても呼吸できたり心臓が休みなく動いたりするのも、自律神経がこれらの働きを調整しているからです。
この自律神経には「交感神経」と「副交感神経」があるのですが、それぞれの働きは、
交感神経が顆粒球の数と働きを、副交感神経がリンパ球の数と働きを支配しています。
「交感神経優位=顆粒球増加」「副交感神経優位=リンパ球増加」となるわけですが、
交感神経は昼間の活動時やスポーツを行なうときに優位となります。
このときの各器官の働きは、心臓の動きは高まり、呼吸が早まり、消化管の働きが止まって、活動にふさわしい体調となります。
一方で副交感神経が優位となるのは、リラックス時や食事をしているときです。
この状態のときは心臓の動きや呼吸はゆるやかになり、
消化液の分泌が増えるなど消化管の動きが活発になります。
日常でいえば、仕事中は交感神経優位、休息時が副交感神経優位で、
このバランスがとれていれば病気に抵抗する力も十分と言えます。
ところが、休息時のはずなのに副交感神経優位でないことがあります。
とうぜんこの状態が続けば白血球はバランスをくずすことになるのですが、
どうしてこんなことが起きるのでしょうか。
自律神経と免疫力
免疫システムは「白血球」にあり、白血球には「顆粒球」と「リンパ球」があり、顆粒球とリンパ球は「自律神経」(交感神経・副交感神経)が支配しているとお話ししてきました。
交感神経と副交感神経がバランスよく働いているときは、免疫システムも正常(高い)
ということでしたよね。
では、どのようなときにこのバランスはくずれるのでしょうか。
最大の原因は、過度のストレスを受けたときです。
過度のストレスとは、
働きすぎによる過労や、人間関係・経済面・家庭の問題など心の悩みです。
このストレスを長期にわたって受けると、休息時にリラックスできなくなります。
また、良質の睡眠がとれなくなったりします。
そうなると本来、休息時には副交感神経優位であるはずの自律神経が、
逆に交感神経優位となってしまいます。
この状態が続くと顆粒球が増えて組織破壊が進み、炎症や潰瘍を引き起こします。
また交感神経優位の状態が続けば血管が収縮傾向になり、
全身で血流障害が起こります。
交感神経はアドレナリンという物質を分泌するのですが、
このアドレナリンには血管を収縮させて血圧を上げる働きがあるからです。
加えてアドレナリンはあらゆる物質の分泌をストップさせる働きもします。
交感神経の緊張が続くことで起こる、「顆粒球の増加(リンパ球は減少)」
「血流障害」「あらゆる物質の分泌停止」という3つが免疫力を低下させることになります。
顆粒球の増加による組織破壊とリンパ球の減少は先述(免疫のありか)のとおりですが、
血流障害と物質の分泌停止による弊害は次のようになります。
免疫力の主役はリンパ球ですが、リンパ球の中のNK細胞やNKT細胞は血流に乗って全身をめぐり、がん細胞を見つけ次第、パーフォリンなどの物質を分泌してこれを滅ぼします。
ところが血流が悪い状態では、NK細胞やNKT細胞は全身をスピーディにくまなく回ることができませんし、また物質の分泌ができない状態では、たとえがん細胞を見つけてもパーフォリンという武器を使うことができません。
これが、交感神経緊張状態が続くことで免疫力が低下する原因です。
交感神経はアドレナリンを分泌すると言いましたが、
一方で、副交感神経はアセチルコリンという物質を分泌します。
このアセチルコリンはアドレナリンとまったく逆の働きをする物質で、
血管を広げて血流をよくし、血圧を下げ、あらゆる物質の分泌や排泄を促します。
これが副交感神経優位の状況ですが、
こうなると免疫システムはがぜん力を発揮するようになります。
まず、リンパ球の数が増えて活性化します。
血流が良いですからNK細胞やNKT細胞は血流に乗って全身を駆けめぐり、
がん細胞を見つけ次第、パーフォリンをふんだんに放ってこれを滅ぼします。
また、老廃物や痛み成分も豊富な血流でどんどん押し流すことができます。
このように副交感神経優位の状況は、
自力で病気と闘える強い身体をつくっていくことになります。
これまで、がんの原因はタバコなどの嗜好品の影響や、生活習慣、ウイルス、化学物質、遺伝、紫外線、精神的なストレスなど、様々な要因がからみ合っているというのが一般的な意見でした。
しかしこれだけ要因を上げられると、
とてもとても注意を払おうにも手がまわりそうにありません。
ところが1996年、安保徹教授(新潟大学大学院医歯学総合研究科)により、
「白血球の自律神経支配」のメカニズムが世界で初めて解明されました。
その論旨は、交感神経の過度の緊張が続くことで起きる、「組織破壊」「血流障害」「リンパ球の減少」「排泄・分泌機能の低下」が、あらゆる病気の原因であるというものです。
それまで病気の原因として、過度のストレス(過労・心労)が主因とされることはありませんでした。せいぜい、数ある原因の中の一つというその他大勢の扱いでした。
ところが、「白血球の自律神経支配」のメカニズム解明は、
過度のストレスが病の主因であると位置づけたのです。
原因がはっきりすると対処の仕方も見えてきます。
病を再発させないためにも、
過労や心の悩みを極力抱え込まないことが大切になってきます。
そのことが、正常な免疫力をコントロールしていくことにもなるのですから。
とくに心の悩みを長期にわたって抱えることは禁物です。
悩みは集中力や正常な思考力、そして身体のエネルギーまでも奪ってしまうからです。
誰もが、日常の中で大なり小なり問題を抱えています。
問題は解決しない限り雲散霧消することはありませんし、
放っておくと悩みに発展することさえあります。
ですから、問題が悩みとならないうちに先延ばしせず解決しなければなりません。
問題の原因を探り、解決法を模索し、
最善の一手で悩みの芽(問題)を早めに摘み取ることが大切です。
デール・カーネギーは著書「道は開ける」の中で、
悩みとその解決法について次にように書いています。
「この世の悩みの大半は、判断の根拠となる知識が十分でないのに、
あえて判断をくだそうとするから生じる」
「何かの問題で悩みそうな場合には、次の問いと答えを書き出してみること」
・問題点は何か?
・問題の原因は何か?
・いくとおりの解決策があって、それらはどんなものか?
・望ましい解決策はどれか?
また、続けて
「慎重に決断をくだしたら、行動に移すこと。決断にもとづいて、ひたすら行動しよう。
そして、結果についての心配はいっさい無用だ」と。
(デール・カーネギー「道は開ける」創元社)
私も年来この方法を用いていますが、答えが出ると不思議と思い迷ったり、
ためらったりがなくなります。
また、答えを出すと問題は半ば解決したかのような、何ともいえない開放感に包まれます。
この方法、ぜひためしてみてください。
白血球分画検査
現在の自分の免疫力は、白血球分画検査(保険適用)を行なうことで知ることができます。
白血球は、顆粒球とリンパ球、マクロファージから成り立っていると先述しましたが、この検査では厳密には、「好中球」「好酸球」「好塩基球」「リンパ球」「単球」の5つに分類されます。
好中球、好酸球、好塩基球は顆粒球の分類です。
なかでも好中球が顆粒球全体の95%を占めますので、
通常、顆粒球と言う場合は好中球をさす場合が多いです。
単球はマクロファージのことです。
白血球分画検査では、主にそれぞれの比率と数を見ます。
白血球の数は、健康な人の場合で血液1mm3あたり5000〜8000個あります。
顆粒球(好中球+好酸球+好塩基球)の望ましい数は血液1mm3あたり3500〜3600個、
同様にリンパ球で2300〜2600個です。
ここで注視するのが、リンパ球の数と比率になります。
がんを治すために必要なリンパ球数は、
血液1mm3あたり1800〜2000個以上とされますので、
定期的な白血球分画検査でリンパ球数2000個以上の維持確保をぜひ目指してください。
リンパ球数が上がり
よく眠れる、食欲が出た、血色が良くなった、が実感できるようになると、あと一歩です。
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