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| 免疫力が病を治す |
免疫力とは私たちだれもが生まれながらに持っているものですが、換言すると「病を治す力」「病に抵抗する力」になります。
免疫力が低下していると病にかかりやすく、病は治りにくいというわけです。
ではこの免疫力は何によってコントロールされ、どんな原因で低下するのでしょうか。
免疫力とは
免疫力が高いとか低いとかよく口にしますのよ。これは具体的にどこを見れば判るのかというと、血液中の白血球の様子、白血球分画検査(後述します/保険適用)で数値として判ります。
血液には白血球と赤血球がありますが、白血球が免疫システムを管理し、一方の赤血球は酸素や栄養を運ぶ役目をしています。
この白血球は、リンパ球と顆粒球、マクロファージから成り立ち、三者はそれぞれ免疫システムを担いますが、一般に免疫力と言うときは「リンパ球」のことをさします。
そしてこの三者の働きは、顆粒球が大腸菌や死んだ細胞の死骸などサイズの大きな異物を食べて処理し、リンパ球はそれよりも小さな、変異した細胞やウイルスなどを駆逐します。またマクロファージはサイズの大きな異物や老廃物を処理する一方で、外部から異物が体内に入ったことを報せる役目も行ないます。
このように三者三様、それぞれに無くてはならぬ働きを行なってはいるのですが、顆粒球だけは負の側面も持っています。
顆粒球の寿命は2〜3日と短く、役目を終えると組織粘膜を死に場所にして活性酸素を放ちます。
活性酸素は強い酸化力で組織破壊を進めるために、万病の元とも言われますが、もちろん私たちのからだにこれを無毒化するしくみがないわけではありません。ただ問題は、許容量です。
免疫力にとっては顆粒球が増えすぎないこと、つまり、白血球を構成する三者のバランスが重要ということになってきます。
白血球・三者のバランス
そこで、この三者の比率を見てみると、マクロファージだけが全体の約5%で一定し、顆粒球とリンパ球の比率は常に変動することがわかっています。
たとえば顆粒球が60%ならば、リンパ球は35%という具合です。
この常に変動する顆粒球とリンパ球の比率ですが、理想的には「顆粒球=54〜60%」「リンパ球=35〜41%」といわれています。
つまり、活性酸素を増大させないために、またリンパ球の活発な活動を妨げないためにも、顆粒球の比率を60%以内に抑えることが重要だといえます。
また、顆粒球とリンパ球の比率変動にみる体調はというと、病気を抱えている人の顆粒球比率は65%以上(リンパ球30%以下)。
また、病気ではないが不快な症状を抱えている人の顆粒球比率は60〜65%(リンパ球30〜35%)。
そして、病気でもない不快症状もない健康な人の顆粒球比率が54〜60%(リンパ球35〜41%)だといわれます。
ではどんな働きかけにより、双方の比率は変わってくるのでしょうか。
白血球を支配する自律神経
この白血球のバランスに大きくかかわるのが、じつは自律神経です。自律神経とはその名のとおり脳の指令を受けない自律した神経のことで、眠っていても呼吸したり心臓が休みなく働きつづけるのも、自律神経がこれらの働きを調整しているからなんです。
では、自律神経は白血球にどのようにかかわっているのでしょうか。
自律神経には「交感神経」と「副交感神経」がありますが、それぞれの働きは、交感神経が顆粒球を、副交感神経がリンパ球を支配しています。
つまり、自律神経は交感神経優位のときは顆粒球の数と働きが増し、副交感神経優位のときはリンパ球の数と働きが増すことになります。
この交感神経と副交感神経ですが、仕事中やスポーツ時には交感神経が優位となり、リラックス時や食事をしているときには副交感神経優位に働きます。
ですから、通常働いたり適度に休息している分には、自律神経や白血球もバランス的にまったく問題ありませんが、たとえば休息時にリラックスできない状態のときがあったりします。この状態が長くつづくと自律神経はバランスをくずすことになります。
休息時にリラックスできない最大の原因とは? 過度のストレスを受けているときです。
これは、働きすぎによる過労だったり、あるいは人間関係や経済面・家庭の問題など心の悩みであったりします。
この過度のストレスが高じると、休息時にリラックスできなくなり、本来なら副交感神経優位な状態が交感神経優位となり、これが長期間つづくと自律神経のバランスをくずすことになります。
ここで注意していただきたいのは「過度のストレスを長期にわたって受ける」ということです。
はっきり言って、私たちはストレスを受けないわけにはいきません。しかし、ストレスは免疫力にとってよくないぞ、と自覚するだけでも最初はよいと思います。
「いま悩んでいるな」「怒っているな」「長引かせるとよくないぞ」と自覚することが、自律神経のバランスをくずさない、あるいはととのえるための起点となります。
自律神経のバランスと免疫力
長期間にわたる交感神経優位な状態がなぜよくないかというと、まず、顆粒球が増えることで活性酸素による組織破壊が進み、広範に炎症や潰瘍を引き起こすことです。
次に交感神経が優位な状況では、血管は収縮傾向となり全身で血流障害が起こります。
これは、交感神経はアドレナリンという物質を分泌しますが、アドレナリンには血管を収縮させて血圧を上げる働きがあるからです。加えてアドレナリンはあらゆる物質の分泌を止める働きもします。
これがやっかいな理由は、まず血流が悪いと、リンパ球の主役であるNK細胞やNKT細胞は血流に乗って全身を勢いよくめぐることができなくなります。
また、これらの細胞は血流に乗って全身をパトロールし、変異した細胞を見つけ次第、パーフォリンという物質を分泌してこれを滅ぼしますが、物質が分泌できない状況下ではこの武器を使うこともできなくなってしまいます。
これが交感神経の緊張がつづくことによる免疫力低下の原因です。
一方で交感神経優位の状態が解かれ、副交感神経優位な状態になってくると、免疫力はがぜん力を発揮するようになります。
まず、リンパ球の数が増えて活性化します。
また副交感神経はアセチルコリンという物質を分泌しますが、これはアドレナリンとはまったく逆の働きをするもので、血管を広げて血流をよくし、血圧を下げ、あらゆる物質の分泌や排泄を促します。
そうすると、NK細胞やNKT細胞は血流に乗って全身を駆けめぐり変異細胞を発見次第、パーフォリンをふんだんに放ってこれを滅ぼします。
また、老廃物や痛み成分も豊富な血流でどんどん押し流すことができるというわけです。
このように副交感神経優位の状況は、自力で病気と闘える強い身体をつくっていくことになります。
因果で申せば、免疫力の低下は白血球の中のリンパ球が減少することであり、これは自律神経の交感神経が優位な状態に傾くことで起こる。そしてこの、交感神経優位となるのは過度のストレスを長期にわたり受けたときである、ということになります。
私たちは直接的にはリンパ球の減少をくい止めることはできないかもしれません。
しかし、過度のストレスを受けたときに混乱することも、平静さに努めることも、また、これを長期にわたって受けつづけるか短期で終らせるかは、私たち自身の心一つにかかっているといえます。
つまり、私たちはストレスを受けたとき、その受け止め方いかんで、自律神経を右か左のいずれかへ導いているわけです。よって、間接的にはリンパ球の増減を明らかにコントロールしているとも言えます。
とはいえ、心の中から煩悶を取り去り、平静を保つのはたやすいことではありません。人間は感情の生きものとよく言いますが、そうではなく、この感情を意志に置き換えてみたとしたらどうでしょう。
「人間の中心は意志である」と思ってみる。気分や感情はどうしても受け身ですから、認められれば嬉しいし、批判されれば悲しくなります。それよりも意志を自分の中心に持ってきて、なにがあっても貫くぞという自分の意志をいつも頭の片隅に置いておく。
とくにストレスを受けたときは感情で受け止めるより、自分の意志にしたがうほうが守備よくいく気がします。
佐々木将人さんは中村天風さんの言葉として、月刊誌「致知」のなかで次のように述べておられます。
「人間は神経によって生かされている。その神経は、心の支配下にあり、心の状態によって、神経は広くなったり狭くなったり、ときには気絶からショック死をする。
「したがって、心は如何なることがあろうとも、明るく、朗らかに、生き生きと、勇ましく、常に笑顔とユーモアを忘れずに生きていると、どんな状況にあっても、神経が和らぎ、宇宙霊の気がたくさん入ってきて、健康で、豊かで長生きできる・・・・・・
「たとえ運命に非なるものがあっても、心まで悩ますまい。否、いっさいの苦しみをも、なお楽しみとなすの強さを心にもたせよう」
(月刊誌「致知」人間におけるユーモアの研究 より)
免疫力を数値で知る
現在の免疫力は、白血球分画検査(保険適用)で知ることができます。
白血球には、顆粒球・リンパ球・マクロファージがありますが、この検査では、「好中球」「好酸球」「好塩基球」「リンパ球」「単球」の5つに分類されます。
好中球・好酸球・好塩基球は「顆粒球」の分類です。参考までに、好中球が顆粒球全体の95%を占めますので、一般に顆粒球というときは好中球をさします。
単球は「マクロファージ」のことです。
この検査では、主にそれぞれの数と比率を見ます。
白血球の数は、健康な人の場合で血液1mm3あたり5000〜8000個あります。
そして、顆粒球(好中球+好酸球+好塩基球)の望ましい数は血液1mm3あたり3500〜3600個、同様にリンパ球で2300〜2600個といわれています。
ここで注視していただきたいのが、リンパ球の数と比率です。
病の発症時や治療直後には、リンパ球数は血液1mm3あたり1500個を切っていることも少なくありません。
また、病を治すために必要なリンパ球数は同1800〜2000個以上といわれますので、真の快復のためにもこの数2000個以上をつねに保つよう努めてください。
免疫力を高めるには、食事や適度な運動、心の安寧など心身一にしてととのえていくことが大切です。QOL(生活の質)では、よく眠れる、食欲がある、血色が良い、これらが実感できるようになったら免疫力が上がった証です。
長期的には免疫力を高めることが病の再発を防ぐことになり、真の快復につながっていきます。 どうか心身を一にして、免疫力改善に取り組んでいただきたいと思います。
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